情報隠し町民被ばく
文科省は3月15日午後8時40分ごろ、浪江町の20キロライン付近の3ヶ所で放射線量を測定した。
浜通りから見ると、赤宇木や津島など山側地区の玄関口に当たる。
放射線量は、赤宇木近くのポイントで240マイクロシーベルト(屋外、1時間当たり、以下同じ)と非常に高い値だった。
測定場所の選定は、国民に隠し続けた文科省所管の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の予測図を参考にしたという。
原発から北西方向の赤宇木や飯舘村が放射能にまみれていたことは、後に公開された予測図で明らかになるが、文科省は事故直後から分かっていたわけだ。
測定結果はHPで公開
測定結果は16日、文科省ホームページ(HP)で公表されたが、地名はなかった。
測定場所を地図上に「①②③」という形で示しただけだ。
赤宇木手七郎で測定が始まるのは17日。
20キロ圏外のモニタリング調査の一環で実施されているが、約35ヵ所の測定場所の地名は一切明らかにされず、赤宇木手七郎は「【32】(約30キロ北西)」とだけ表記された。
放射線量は、158~170マイクロシーベルト。
各測定場所を落とした地図が添付されたが、福島県の大半をカバーしているため、【32】が浪江町であることさえも判別しにくい。
なぜ地名が公表されなかったのか。
文科省原子力災害対策支援本部の板倉周一郎・環境モニタリング班長は
「現地の住所表示が粗いので、地図で表記した方が正確だと判断した。正しい情報発信だった」
と反論するが、いまひとつ説得力に欠ける。
地元の警察などに確認すれば、正確な地名の特定は難しいことではないと思われるからだ。
地図で表示 大臣も了解
こうした公表方法については、高木義明文科相ら政務三役も了解していたという。
板倉班長は「具体的な地名を出すなという指示があったわけではない」と強調する。
測定データは、経済産業省原子力安全・保安院や原子力安全委員会などにもファックスなどで届けられたが、すぐに住民の避難に生かされることはなかった。
事故直後の混乱の中、文科省のHPを閲覧していた人がどれだけいただろうか。
仮にHPを見たとしても、地図の測定場所だけで危険を察知できただだろうか。
結局、浪江町の浜通りの住民は、放射線量の高い赤宇木や津島に避難。多くの人がしばらくとどまってしまった。
文科省が、赤宇木手七郎などの地名を明らかにしたのは4月11日分からだ。
同じ日、政府は赤宇木や津島などを計画的避難区域に指定する方針を打ち出した。
板倉班長は、地名を公表した理由について「住民からの問い合わせが多くなったからだ」と説明するものの、言い逃れにしか聞こえない。
政府はSPEEDI情報やモニタリング調査に基づき、計画的避難区域などを決めている。
自分達が独占した情報で重要な決定を下した後、ようやく一般国民に知らせた格好になるからだ。
体調崩す住民「人体実験だ」
今月4日午前の測定値は、赤宇木手七郎が17マイクロシーベルト。
赤宇木は依然として最高値を出し続けている。
赤宇木・津島地区には今も、前出の杉本さんを含めて約20人ほどが住んでいる。
「キャンプ場の動物たちを置き去りにできない」と杉本さん。
事故直後から鼻血が出やすくなるなど体調は思わしくない。
最近は左目がかすんできた。
杉本さんは「政府が情報を出さないから、たくさんの人が被ばくしてしまった。これでは人体実験だ」と憤る。

北陸中日新聞(平成23年7月6日:朝刊)
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文科省は3月15日午後8時40分ごろ、浪江町の20キロライン付近の3ヶ所で放射線量を測定した。
浜通りから見ると、赤宇木や津島など山側地区の玄関口に当たる。
放射線量は、赤宇木近くのポイントで240マイクロシーベルト(屋外、1時間当たり、以下同じ)と非常に高い値だった。
測定場所の選定は、国民に隠し続けた文科省所管の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の予測図を参考にしたという。
原発から北西方向の赤宇木や飯舘村が放射能にまみれていたことは、後に公開された予測図で明らかになるが、文科省は事故直後から分かっていたわけだ。
測定結果はHPで公開
測定結果は16日、文科省ホームページ(HP)で公表されたが、地名はなかった。
測定場所を地図上に「①②③」という形で示しただけだ。
赤宇木手七郎で測定が始まるのは17日。
20キロ圏外のモニタリング調査の一環で実施されているが、約35ヵ所の測定場所の地名は一切明らかにされず、赤宇木手七郎は「【32】(約30キロ北西)」とだけ表記された。
放射線量は、158~170マイクロシーベルト。
各測定場所を落とした地図が添付されたが、福島県の大半をカバーしているため、【32】が浪江町であることさえも判別しにくい。
なぜ地名が公表されなかったのか。
文科省原子力災害対策支援本部の板倉周一郎・環境モニタリング班長は
「現地の住所表示が粗いので、地図で表記した方が正確だと判断した。正しい情報発信だった」
と反論するが、いまひとつ説得力に欠ける。
地元の警察などに確認すれば、正確な地名の特定は難しいことではないと思われるからだ。
地図で表示 大臣も了解
こうした公表方法については、高木義明文科相ら政務三役も了解していたという。
板倉班長は「具体的な地名を出すなという指示があったわけではない」と強調する。
測定データは、経済産業省原子力安全・保安院や原子力安全委員会などにもファックスなどで届けられたが、すぐに住民の避難に生かされることはなかった。
事故直後の混乱の中、文科省のHPを閲覧していた人がどれだけいただろうか。
仮にHPを見たとしても、地図の測定場所だけで危険を察知できただだろうか。
結局、浪江町の浜通りの住民は、放射線量の高い赤宇木や津島に避難。多くの人がしばらくとどまってしまった。
文科省が、赤宇木手七郎などの地名を明らかにしたのは4月11日分からだ。
同じ日、政府は赤宇木や津島などを計画的避難区域に指定する方針を打ち出した。
板倉班長は、地名を公表した理由について「住民からの問い合わせが多くなったからだ」と説明するものの、言い逃れにしか聞こえない。
政府はSPEEDI情報やモニタリング調査に基づき、計画的避難区域などを決めている。
自分達が独占した情報で重要な決定を下した後、ようやく一般国民に知らせた格好になるからだ。
体調崩す住民「人体実験だ」
今月4日午前の測定値は、赤宇木手七郎が17マイクロシーベルト。
赤宇木は依然として最高値を出し続けている。
赤宇木・津島地区には今も、前出の杉本さんを含めて約20人ほどが住んでいる。
「キャンプ場の動物たちを置き去りにできない」と杉本さん。
事故直後から鼻血が出やすくなるなど体調は思わしくない。
最近は左目がかすんできた。
杉本さんは「政府が情報を出さないから、たくさんの人が被ばくしてしまった。これでは人体実験だ」と憤る。

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高線量地名 伏せた文科省
福島県浪江町赤宇木地区
またもや政府の「情報隠し」だ。福島県浪江町赤宇木(あこうぎ)地区。
文部科学省などが福島県第一原発から半径20キロ圏外で放射線量を測定している地点のうち、突出して高い値を示しているにもかかわらず、その地名は1ヶ月間も伏せられた。
近隣住民から当時の事情を聴くと、被災者が無防備に被ばくを強いられた実態が見えてくる。
赤宇木の現状はどうなっているのか。
雨模様の先月26日、赤宇木と隣接する浪江町津島でキャンプ場を営む杉本祐子さん(56)に案内してもらった。
浪江町は、警戒区域の浜通り側と、計画的避難区域に指定されている20~30キロ圏内の赤宇木や津島などの山側に分かれる。
杉本さんのキャンプ場は原発から約30キロ。
そこから車で国道114号を浜通り方面へと向かう。
赤宇木の手前で検問中の警察犬に止められたが、杉本さんが地元住民ということで通してもらった。
「空き巣対策でしょう。1000万円分の農機具を盗まれた人もいる」と杉本さん。
確かに巡回中のパトカーと何度も出くわした。
浜通りの町民大挙 国道は大渋滞
何も知らされず退避
人の姿はない。ある小ぎれいな家の前を通ると、杉本さんは「友人の家です。建て替えたばかり。最近まで住んでいた」とつぶやいた。
避難所代わりになっていた赤宇木集会場の周辺には、空き缶やテレビなどが散乱していた。
警戒区域への立ち入りを禁止するバリケードにぶつかった後、国道北側の山間部へ。
杉本さんによれば、赤宇木には戦後、満州からの帰還者が多く住みついた。
中でも、山側に深く分け入った赤宇木手七郎と呼ばれる地域は雪が多く、冬場は孤立しがちな僻地だという。
「手七郎はマツタケの産地で有名。大変な苦労をしながらこつこつと山野を田んぼや畑に変えてきた。それがすべて水泡に帰そうとしている」
この間、手元の測定器で放射線量を測ってみると、車内で毎時8~15マイクロシーベルトを計測、車外ではさらに数マイクロシーベルトアップした。
年に換算すると、がんで死亡する確率が急上昇する100ミリシーベルトを超える高線量だ。
事故発生直後は、もう1桁高かった。
震災翌日の3月12日、原発から漏れた放射性物質は谷間の国道114号を伝うように、赤宇木や津島に流れた。
にもかかわらず、浜通利の町民が大挙して津島や赤宇木に押し寄せた。
幹線道路は国道114号のみ。
ふだんなら車で30分の距離だが、当時は4時間もかかる大渋滞が起きた。
分からず逃げてきた
杉本さんは「海側の住民は町役場に『津島に避難しろ』と指示され、何が起こっているかも分からずに逃げてきたようだ。津島や赤宇木の放射線量が高いとは、誰も知らなかった」と振り返る。
だが、早々と情報をつかんでいた人たちがいる。
放射線モニタリング調査を統括する文科省だ。


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福島県浪江町赤宇木地区
またもや政府の「情報隠し」だ。福島県浪江町赤宇木(あこうぎ)地区。
文部科学省などが福島県第一原発から半径20キロ圏外で放射線量を測定している地点のうち、突出して高い値を示しているにもかかわらず、その地名は1ヶ月間も伏せられた。
近隣住民から当時の事情を聴くと、被災者が無防備に被ばくを強いられた実態が見えてくる。
赤宇木の現状はどうなっているのか。
雨模様の先月26日、赤宇木と隣接する浪江町津島でキャンプ場を営む杉本祐子さん(56)に案内してもらった。
浪江町は、警戒区域の浜通り側と、計画的避難区域に指定されている20~30キロ圏内の赤宇木や津島などの山側に分かれる。
杉本さんのキャンプ場は原発から約30キロ。
そこから車で国道114号を浜通り方面へと向かう。
赤宇木の手前で検問中の警察犬に止められたが、杉本さんが地元住民ということで通してもらった。
「空き巣対策でしょう。1000万円分の農機具を盗まれた人もいる」と杉本さん。
確かに巡回中のパトカーと何度も出くわした。
浜通りの町民大挙 国道は大渋滞
何も知らされず退避
人の姿はない。ある小ぎれいな家の前を通ると、杉本さんは「友人の家です。建て替えたばかり。最近まで住んでいた」とつぶやいた。
避難所代わりになっていた赤宇木集会場の周辺には、空き缶やテレビなどが散乱していた。
警戒区域への立ち入りを禁止するバリケードにぶつかった後、国道北側の山間部へ。
杉本さんによれば、赤宇木には戦後、満州からの帰還者が多く住みついた。
中でも、山側に深く分け入った赤宇木手七郎と呼ばれる地域は雪が多く、冬場は孤立しがちな僻地だという。
「手七郎はマツタケの産地で有名。大変な苦労をしながらこつこつと山野を田んぼや畑に変えてきた。それがすべて水泡に帰そうとしている」
この間、手元の測定器で放射線量を測ってみると、車内で毎時8~15マイクロシーベルトを計測、車外ではさらに数マイクロシーベルトアップした。
年に換算すると、がんで死亡する確率が急上昇する100ミリシーベルトを超える高線量だ。
事故発生直後は、もう1桁高かった。
震災翌日の3月12日、原発から漏れた放射性物質は谷間の国道114号を伝うように、赤宇木や津島に流れた。
にもかかわらず、浜通利の町民が大挙して津島や赤宇木に押し寄せた。
幹線道路は国道114号のみ。
ふだんなら車で30分の距離だが、当時は4時間もかかる大渋滞が起きた。
分からず逃げてきた
杉本さんは「海側の住民は町役場に『津島に避難しろ』と指示され、何が起こっているかも分からずに逃げてきたようだ。津島や赤宇木の放射線量が高いとは、誰も知らなかった」と振り返る。
だが、早々と情報をつかんでいた人たちがいる。
放射線モニタリング調査を統括する文科省だ。


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