自動車 薄れる系列
日本の自動車産業を支えてきた「系列」と呼ばれる、自動車メーカーと部品メーカーとのつながりが薄れつつある。
電気自動車(EV)といった次世代車が開発の主流になり、必要な部品や技術が変化しているためだ。
自動運転車など、車のIT化で異業種からの参入が進み、今後「系列」の再編が起こる可能性もある。
開発主流はEV
「競争は激しくなる。技術力を高めていくことが大切だ」。
国内の自動車部品メーカーでつくる日本自動車部品工業会の志藤昭彦会長は5月25日の記者会見でこう強調した。
日本の自動車開発は、部品メーカーと調整を重ねて進める「すり合わせ型」が主流だった。
時間と費用はかかるが品質向上につながるため、業界関係者は「トヨタ自動車をはじめ、日本の各自動車メーカーは系列を大切にしてきた」と話す。

自動車メーカーの系列企業
だが、EVに代表される環境対応車や自動運転車の開発競争の激化で各メーカーとも研究開発費が増加。
生産コストの削減のため、共通部品をブロック玩具のように組み合わせて多彩な車種を造る「組み合わせ型」の自動車開発が広まりつつある。
加えて、自動運転車の開発に米ITグーグルが乗り出しているほか、EVでは米ベンチャーのテスラ・モーターズが発表した新型セダンの予約台数が、受け付け開始から1週間で32万5千台に達するなど新しいプレーヤーが増え、競争は激しくなる一方だ。
部品、技術に変化 異業種参入
フランスのルノーと連合を組む日産はカルロス・ゴーン社長の下、1990年代後半以降いち早く系列部品メーカーを解体。
系列にこだわらず部品調達に競争原理を取り入れ、危機的だった経営状況を短期間で回復した。
日産は今、子会社の自動車部品大手、カルソニックカンセイの保有株式の売却も検討する。
先端技術に開発投資を振り分け競争に備えたいとの思惑がのぞく。
トヨタ系のデンソーとアイシン精機も重複する部品の開発を1社に集約。
効率化を目指した系列企業同士の生産体制の見直しも進む。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは「求められる技術は変化している。穏やかではあるが、部品メーカーごとの提携や再編は進むだろう」と指摘する。

北國新聞:平成28年6月7日朝刊 より一部コピー ↑
日本の自動車産業を支えてきた「系列」と呼ばれる、自動車メーカーと部品メーカーとのつながりが薄れつつある。
電気自動車(EV)といった次世代車が開発の主流になり、必要な部品や技術が変化しているためだ。
自動運転車など、車のIT化で異業種からの参入が進み、今後「系列」の再編が起こる可能性もある。
開発主流はEV
「競争は激しくなる。技術力を高めていくことが大切だ」。
国内の自動車部品メーカーでつくる日本自動車部品工業会の志藤昭彦会長は5月25日の記者会見でこう強調した。
日本の自動車開発は、部品メーカーと調整を重ねて進める「すり合わせ型」が主流だった。
時間と費用はかかるが品質向上につながるため、業界関係者は「トヨタ自動車をはじめ、日本の各自動車メーカーは系列を大切にしてきた」と話す。

自動車メーカーの系列企業
だが、EVに代表される環境対応車や自動運転車の開発競争の激化で各メーカーとも研究開発費が増加。
生産コストの削減のため、共通部品をブロック玩具のように組み合わせて多彩な車種を造る「組み合わせ型」の自動車開発が広まりつつある。
加えて、自動運転車の開発に米ITグーグルが乗り出しているほか、EVでは米ベンチャーのテスラ・モーターズが発表した新型セダンの予約台数が、受け付け開始から1週間で32万5千台に達するなど新しいプレーヤーが増え、競争は激しくなる一方だ。
部品、技術に変化 異業種参入
フランスのルノーと連合を組む日産はカルロス・ゴーン社長の下、1990年代後半以降いち早く系列部品メーカーを解体。
系列にこだわらず部品調達に競争原理を取り入れ、危機的だった経営状況を短期間で回復した。
日産は今、子会社の自動車部品大手、カルソニックカンセイの保有株式の売却も検討する。
先端技術に開発投資を振り分け競争に備えたいとの思惑がのぞく。
トヨタ系のデンソーとアイシン精機も重複する部品の開発を1社に集約。
効率化を目指した系列企業同士の生産体制の見直しも進む。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは「求められる技術は変化している。穏やかではあるが、部品メーカーごとの提携や再編は進むだろう」と指摘する。

北國新聞:平成28年6月7日朝刊 より一部コピー ↑
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業界再編が活発化
スズキの動向焦点
国内外の自動車メーカーは規模拡大のほか、環境技術の強化や商品ラインナップの充実を図るために提携関係を結んでおり、今後も業界再編が活発化しそうだ。
経営規模が比較的小さい国内中堅メーカーの中では、フォルクスワーゲン(VW)との資本関係を解消したスズキの動向が焦点になる。
大手のトヨタ自動車や日産自動車、ホンダは単独で生き残れる経営体力があるとされる。
しかし中堅メーカーが、環境や自動運転の技術などを自前で開発するのは極めて困難だ。
ダイハツ工業は8月にトヨタの完全子会社になるほか、マツダも昨年、トヨタと包括提携で基本合意した。
富士重工業もトヨタの出資を受け入れている。
三菱自動車の日産傘下入りで、上位メーカーと資本関係や技術面の包括提携の関係を持たない国内勢はスズキだけになる。
スズキも長期的にはトヨタとの提携を予想する見方がある。
日産とフランスのルノー連合に三菱自動車を加えると昨年の世界販売台数は計約959万台に達する。
1千万台レベルで争ってきたトヨタとVW、米ゼネラル・モーターズ(GM)の3陣営に匹敵する規模になる。
スズキの世界販売は300万台程度で、インド市場でシェア首位など強味を持つが、規模では見劣りしている。
「どこかと提携して技術面でサポートを得られると非常に大きい」(経済産業省幹部)との声も漏れる。
自前主義の強いホンダも燃料電池車の開発ではGMと提携している。
トヨタはドイツのBMWと燃料電池車やスポーツカーの開発で提携しているほか、日産・ルノー連合もドイツのダイムラーと資本業務提携し開発や生産で協力している。


北國新聞:平成28年5月13日朝刊より一部コピー ↑
スズキの動向焦点
国内外の自動車メーカーは規模拡大のほか、環境技術の強化や商品ラインナップの充実を図るために提携関係を結んでおり、今後も業界再編が活発化しそうだ。
経営規模が比較的小さい国内中堅メーカーの中では、フォルクスワーゲン(VW)との資本関係を解消したスズキの動向が焦点になる。
大手のトヨタ自動車や日産自動車、ホンダは単独で生き残れる経営体力があるとされる。
しかし中堅メーカーが、環境や自動運転の技術などを自前で開発するのは極めて困難だ。
ダイハツ工業は8月にトヨタの完全子会社になるほか、マツダも昨年、トヨタと包括提携で基本合意した。
富士重工業もトヨタの出資を受け入れている。
三菱自動車の日産傘下入りで、上位メーカーと資本関係や技術面の包括提携の関係を持たない国内勢はスズキだけになる。
スズキも長期的にはトヨタとの提携を予想する見方がある。
日産とフランスのルノー連合に三菱自動車を加えると昨年の世界販売台数は計約959万台に達する。
1千万台レベルで争ってきたトヨタとVW、米ゼネラル・モーターズ(GM)の3陣営に匹敵する規模になる。
スズキの世界販売は300万台程度で、インド市場でシェア首位など強味を持つが、規模では見劣りしている。
「どこかと提携して技術面でサポートを得られると非常に大きい」(経済産業省幹部)との声も漏れる。
自前主義の強いホンダも燃料電池車の開発ではGMと提携している。
トヨタはドイツのBMWと燃料電池車やスポーツカーの開発で提携しているほか、日産・ルノー連合もドイツのダイムラーと資本業務提携し開発や生産で協力している。


北國新聞:平成28年5月13日朝刊より一部コピー ↑