太陽光

計画停電　家庭での対策は？

「太陽光」に脚光

東日本大震災で原子力発電所の事故が発生したことなどで、電力不足になり実施されている計画停電。
エアコンなどを我慢して節電に努める家庭も増えているが、計画停電は長期化するという見方も出ている。
自然エネルギーに対する関心の高まりもあり、太陽光発電を住宅に取り付けようと言う人が増えていると言う。

大容量家電、夜間に難点　設置コスト普及のカギ


相模原市の住宅街。薄曇りの天気。計画停電で周囲の住宅が一斉に暗くなる中、会社員（62）宅の一室ではこうこうと電灯が輝いていた。
会社員の妻は「停電で利用したのは初めてだけど、なんとかつきましたね」とほっとした表情を見せた。

半年前に新築した二世帯住宅。住宅メーカーに勧められ、太陽光発電システムを取り付けた。
最大2.5キロワットの発電が可能だが、この発電出力では電灯や冷蔵庫、エアコンなど家庭の電力をすべて賄うには足りない。
通常は電力会社から供給される電力も平行して利用している。
太陽光発電で発電した余剰分は電力会社に買い取ってもらえるので、その分、電力料金は安く済む。

経済産業省のモデルケースでは、標準的な3.5キロワットのシステムを国や自治体から60万円ほどの補助を受け、約185万円で設置した場合、10年ほどで設置コストを回収できると言う。
ただ、屋根の向きなどによってこの計算は異なる。

「計画停電の際の使用方法などの問い合わせが増えているようです」
メーカーなどでつくる太陽光発電協会の担当者はそう話す。
停電の場合、自立運転モードに切り替えれば、家庭内に電力を供給できる。

ただ、この場合は通常1.5キロワットが容量の限界。
エアコンやオーブンレンジなど大容量の電気機器は使えない。日照時間によって発電量が不安定になるので、パソコンにも不向きだという。

一番の弱点は、夜間は発電できないこと。
蓄電池はまだ価格が高く、通常の住宅用には備えられていない。
国は、地球温暖化対策としてエネルギー自給率の向上などを目的に、太陽光発電の普及を後押ししている。

2020年までに05年の約20倍、約530万戸の住宅に普及させるのが目標だ。
09年からは余剰電力の買い取り制度が始まり、システムの価格も低下傾向にあるため、以前よりは普及が進んでいるという。

今後、原子力発電所の新増設が困難になれば、電力不足になるのは必至だ。
太陽光や風力など再生可能エネルギーへの転換は避けられない。
その中で、太陽光発電が最も有望であることは間違いない。

ＮＰＯ法人「環境エネルギー政策研究所」（東京）の松原弘直主席研究員は「太陽光発電を一般住宅で普及させるためには、余剰電力だけでなく、発電した全量を電力会社が買い取る制度をつくることが有効だ」とて提言する。

「原発の代替エネルギーとするためには、太陽光発電だけでは不十分で、風力、水力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーを総合的に発展させる必要がある」



北陸中日新聞（平成23年3月28日：朝刊）


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